先日(10月半ば)、旅行に行くのをきっかけに、秋物をいくつか買うつもりで、渋谷に買い物に行ってみました。
このサイトを作るということもあり、過去しばらく、誰かしらパーソナルスタイリストさんと一緒に服の買い物をしていた管理人が、いざ一人で服を買いに行くとどうなるか、というドキュメントです。
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情報収集
買い物に行く前に、自分でなんとなくイメージしていたのは、スポーティよりのカジュアル。たとえばカレッジスウェットとか、ジョガーパンツとかですかね。アイテムとしてそれこそユニクロとかにも出てるものなので、たぶん自分サイズのものはどこかで見つかるだろうと考えていました。その中で、できるだけ大人っぽいものを組み合わせて手に入れたい、というのが希望です。
事前の情報収集はほとんどなし。美容院で男性ファッション誌とかをチラチラみたりしますが、そんなに真剣に読み込んでいたわけではありません。
いまユニクロのサイト見たら、ジョガーパンツでこんなコーディネート例が出てました。
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まあこんなようなイメージです。これよりもうちょっとオトナ度を上げて、若すぎないし、年寄りすぎないくらいのいいラインが欲しい。
いつもの店に行けばいい、というわけでもない
渋谷はマルイシティが改装中なので、その近辺のルミネマンとか、109メンズとか、マルイ渋谷とか、ユニクロとか、その辺を行けばいいやと考えました。いつもスタイリストさんと行くような店はなんとなく記憶しているので、ざーっと回ればいいよねと。
ところが。
事前の調査なく、ダラダラと買い物に歩くって、けっこう体力的にキツいです。あっち行ったりこっち行ったりするので移動距離が長くなりますし、服屋さんが密集した渋谷であっても、人波をかき分けながら歩くのは精神的に疲れます。
言い換えると、スタイリストさんのふだんのリサーチ活動って大変だなあと。おそらく、他の方の買い物のついでに「あ、これ使える」って写真撮ったりしてるんじゃないかと思いますが、「このアイテムで使えそうなのはあの店とあの店」みたいなデータがすぐ出てくることで、買い物同行って相当効率化されているということを実感しました。
まず最初に、ちょっと高級感のあるスニーカー(蛍光色とかじゃなく、グレーとかシルバーみたいな、ビニールっぽいのではなく革っぽいヤツ)が欲しかったんですが、店舗ではなかなか見つからず。
こんな感じのが欲しかったんですけどね。店頭在庫なしとか、サイズがないとか。
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こう、店頭をざーっと回りながら、気になるものを見つける、という作業だけで相当目が疲れます。 (なんか年寄りっぽいこと書いてますけど、年齢にかかわらず、みなさん実際そうですよね?)
「これ、いいんじゃないか」というものを見つけて「これ○センチくらいのあります?」と店員さんにお願いして、数分後、「あー、△センチならあるんですけどねー」と、確実に履けないサイズを言われる徒労感。
やっぱ(ダメな)店員さんはウザい
靴はいったん置いといて、アウターとインナー、パンツを探しに行きます。
具体的には、ルミネマン各店舗、アバハウス、エディフィス、ZARA、ユニクロあたりに入ってみました。スーツ系の量販店にも行きましたが、あんまりオトナスポーティという感じではないですね。
そこで「大人っぽいスポーティアイテム」を見つけたら、「試着いいですか?」と試着室に入り、サイズ的に合うものが見つかったら、店員さんに見てもらい、さらに「これに他のアイテム合わせるとしたらどうします?」と聞いて提案してもらう、という行動の繰り返しです(ファストファッションのお店では相談なしで勝手に試着させてもらいましたが)。
ここで思ったのは「やっぱり店員うぜー」ということ。
こちらが期待するのは、流行だったりファッション知識に基づいた「提案」なんですが、そういう人が残念ながらいないんですよ。
ルミネ某店で、挨拶しながら入店すると(平日夕方です)、すぐにマークしてきて(^_^;)「あーご旅行ですかー、どちらですかー、いいところですよねー、最近寒いって言いますよー」と、厚手のアウターを売りつけてくる。
世間話じゃなく、服の説明をしてくれ。と思います。「考えときます!」と言って店を逃げ出します。
また別の路面店にて。
「こんな感じのが欲しいと思ってるんですけど」と言うと、とあるアイテムを出してきて・・・
「オレこれ大好きなんすよー、昨日入ってきたばっかりでー」
「試着いいですか?」と着てみると
「やっぱいいですよこれー、めっちゃカッコイイすよー」
「うーん、サイズ合わないなー」(←大きすぎた)
「そうすかー?大丈夫っすよー」とか。
あなたの好みじゃなくて、わたしがどう見えるかを教えてくれ。それだけ好きなら自分で買ってくれ。
「この商品入ってきたばかり」って、何の意味があるんですかね? 仕入れの状況なんて知らんし、その商品が人気になるかも、自分が買うかどうかとは別の話だし。その店で売れても、サイズだけ他の商品でチェックしてお取り寄せ、とか普通にやるじゃないですか。
「下のサイズあります?」
「ないんですよー」
ダメじゃん。
1点、サイズもあって、ちょっといい感じのパンツを見つけて、「これに合わせるとしたらどんな感じですかね?」と聞くと、「いや、どれでもお似合いになると思いますよ」
ホラ来た、「どれでもお似合いですよ」攻撃。「とりあえずパンツだけ買います」で逃げます。
書評で紹介した大山旬さんの本なんかには、「店員さんを味方につける」みたいな話が書いてありますが、ちゃんとした人を見つけて、いい関係を作っていくまでに、この調子じゃ、いくら無駄遣いすればいいのかと。
たぶん今回10人近くの店員さんと話しましたけど、好感を持てたのは唯一エディフィスの店員さん。「呼べば来てくれる」くらいの距離感で、試着をいくら繰り返してもイヤな顔をせず、試着した状態を見てもらっても、淡々としていて、「絶対それ買いましょうよ!」みたいな押しつけがなかったです。(発言自体がなさ過ぎるのも、いいのか悪いのか分からなくて困るんですが・・・)
提案がないのであれば、こういう淡々とした接客をしていただいた方が、ラクです。短期的な売上は伸びないと思いますけど、たぶんそのお店はまた行く気がします。
売りたい気持ちはわかるけど
知り合いに元デパート店員もいるので、店員さんのためにちょっと弁護。
女性によくありそうなパターンで、自分で手に取った商品を試着しながら、「これどうかしら?」と聞かれたときどうするか。ぱっと見、サイズは合ってるけど、デザインは似合っていないとする。
すくなくとも自分で選んでいるので、ここで「これは無いんじゃないですか?」と言うのは勇気がいりますよね。お客さんの心理として「私のセンスが否定された。ここのお店、ダメだわ」と思うこともあるはずです。実際には、無駄な買い物をせずにすんだので、店員さんに感謝していいはずなんですけど。
なので、「お似合いですよ」と、とりあえず言っておくというのは、店員のサバイバル術として正しいと言えば正しい。
ですが、ホントに欲しいのは「あなたがこういう方向性を目指しているなら、これこれの理由で、私ならオススメしない」というコンサルティングなんですよ。
店員として、サイズを気にしているのか、配色を気にしているのか、トレンド感を気にしているのかを伝えてくれれば、決してお客さんを否定しているわけではない、という気持ちは伝わるはず。
「じゃ、どんな感じならアリなの?」と、聞き返す客だけ相手にしたらいいじゃないですか。
「例えば、ですが、まず○○と○○の組み合わせは定番なのでまず試してみていただきたいですね。そこからトレンドとして○○を取り入れていくか、もし先ほど選ばれた○○の雰囲気がお好きだったら、小物の○○でアクセント程度に抑えておくほうが印象的だと、個人的には思いますね・・・」
「○○でなにかこれと同じサイズの在庫あります?」
「はい、試着されますか?」
こういうやりとりが理想。あくまで提案であって、押しつけじゃない。こういう人が各店舗一人ずついて欲しい。
時間と労力と納得感
話を戻して、店に入って試着を繰り返してると、あっという間に4時間くらい経ってしまうのです。ここでも、2-3時間で1スタイル作ってしまうプロのスタイリストの腕ってすごいと実感です。
あと、迷う。
実際のアイテムを見て、着ているうちに、どういうところを目指しているのかがブレてくる。なんかいいな、というものがあっても、サイズがないと言われたらあきらめざるを得ないですし、そこで店を出てしまったときに、代わりのアイテムがどこにあるかが分からない。
歩き疲れてくると、判断力も鈍くなってきます。ホントにこれ買ってよかったんだっけ?とか思い始めると、もう買い物自体がつらくなってくる。
109メンズとか、SHIPSとかも行くつもりだったんですが、力尽きて、ユニクロでいくつか防寒系のアウターだけ買って、この日のショッピングは終了。不完全燃焼です。
つくづく、事前調査をしてくれていて、ゴールイメージを共有できるスタイリストさんの買い物同行に、どれほどの価値があるかってことを思い知らされます。
1回2-3万払うことに抵抗はあるかも知れませんが、上記の「4時間かかって、1スタイルも作れない」という状況を考えると、時間と労力と納得感を買うための2-3万は高くないです。