イルサルトの特徴
- イメージ設定重視のコンサル系仕立て屋さん
- 日本で作るイタリア系スーツ
- 全国各都市で活動中(大阪、東京、京都、加古川、小松、岡崎、新潟)
コンサル志向の仕立て屋さん
イルサルト(IL SARTO)ってイタリア語で「仕立て屋さん」という意味だそうです。お客さんの要望に応じて、服を作るのがお仕事です。
ですが、イルサルト末廣徳司さんは「どんな服をつくりますか?」ではなく「どんな自分になりたいですか?」から始まるところが、パーソナルスタイリストっぽいというか、コンサルタントっぽいと思います。
ご本人に聞けば「ボクはスタイリストじゃないですよ」とおっしゃいますが(実際違うんですけど)、価値の出し方の本質はパーソナルスタイリストと同じだと思うので、ここで取り上げさせていただきます。
ビフォーアフター事例
サイトでは、「お客さまの声」として、アフターの姿のみ見ることが出来ます。紹介されているお客さんは、企業経営者レベルの人が多いですね。
パーソナルスタイリストのサイトを見慣れた目で見ると「Beforeはないの?」と思いますが、マーケティング的に、エグゼクティブをターゲットに置くと、かっこよくなった姿だけ見せて、顔出し&名前出しするほうが効果が高いんでしょう。
服が一式揃うまでに掛かる料金
価格表によると、スーツ税別79,800円〜で、コンサル料とかはかかりません。
とはいえ、オーダー初めての方であれば、シャツ、ネクタイ、小物まで含めてプラス5万くらい用意しておいたほうが、出来たときの感動が大きいと思います。
私はシャツ2枚のオーダー、ネクタイ1本の見立ても同時にお願いしました。
体験談(自腹レビュー)
問合せ〜当日まで
イルサルト末廣徳司さんの本拠地は大阪ですが、オーダー会という形で、東京、京都、加古川、小松、岡崎、新潟などあちこちで数日ずつ営業されています。
オーダー会では、末廣さんがマンツーマンで1時間くらいずつかけて、カウンセリングから採寸、布選びやディテールの決定まで行います。
私が申し込んだのは東京のオーダー会。ブログとかメルマガとか読んでると、「今月はここでオーダー会やります」みたいなお知らせが来ますので、予定はそちらでチェックを。
「この日の○時くらいで空いてませんか?」とメールで問い合わせると、すぐに日程調整のメールが来ます。
特に事前のアンケートのやりとりは不要です。スタイリストと違い、合ったサイズの服を探すのではなく、服のサイズをその人に合わせるからでしょうね。
当日カウンセリング&採寸
伺ったのは代官山のマンションの一室。代官山の駅からの方が近いんだと思いますが、渋谷駅からも歩けます。
このマンション、とにかくいろんなところの天井が低い。日本人が小さかった時代に設計した感じ(^_^; 玄関のオートロックを開けてもらってから、指定された部屋までたどり着くまでに、2-3回は頭をぶつけそうになります。
大阪のオフィスにも一度立ち寄らせていただいたことがあるんですが、そこも文化財級のレトロな建物で、なんというか、雰囲気がありました。なんかそういう趣味でいらっしゃるんでしょうかね。
部屋に入ると、自己紹介からの流れで、カウンセリングが始まります。いままでどんな服を着てきたか、今回服をオーダーしようと考えたきっかけ、現在の仕事内容、将来の目標なんかの話をします。
「カウンセリング」と言っても、悩み相談みたいな雰囲気ではなく、たまたま隣に座ったビジネスマン同士が自己紹介している、みたいな感じで会話が進みます。
末廣さんは上品なジャケパンスタイルで、さすがにキマってます。でも気取りすぎたイヤらしい感じはありません。
で、聞き上手の末廣さんを相手にあれこれしゃべっている間に、実はしゃべり方のクセだとか、雰囲気だとかを分析されていて、「ものすごく考えてしゃべっている感じがしますね」「いままでこんなこと言われたことありません?」とか「私はこういう印象を受けたんですけど、それを活かして、こんな雰囲気を出していきませんか?」みたいな、具体的な服のイメージの話になってきます。
そこでキーになるのは「数年後の自分」。
「数年後に実現したい自分のイメージを、いま身につけてしまおう」というのが、イルサルト末廣さんの重要なコンセプトっぽくて、たとえば「いま取り組んでいる新事業を軌道に乗せて、余裕が出てきている自分」とか「独立して、ナショナルクライアントから引く手あまたになっている自分」みたいな言語化をして、それをイメージできる服を着よう、ということです。
上にも書きましたが、このあたりのサービスが実にパーソナルスタイリスト的です。末廣さんご本人は「ボクは世間にどれだけの商品があるのかわからないし、憶えていられないから、パーソナルスタイリストにはなれない。でも、その人のイメージに合う服を作ることはできる」とおっしゃいます。だから、「選ぶ」か「作る」かの実現方法が違うだけで、ゴールは一緒なんじゃないかと思います。
さて、ここまで来ると、いわゆる「仕立て」の工程に入ります(普通のテーラーはここから始まる)。
全身を採寸した後、生地から全体のシルエット、細かなディテールまで決めていくのですが、このときも「夏にスーツを着なければならない状況になったときも、常に冷静な専門家のイメージを伝えるために、どんな素材のスーツにするべきか」みたいな、イメージ設定に基づいて色々提案されます。
いままでフルオーダーで6着くらいスーツを作ってみましたが、イルサルトさんが一番ラクです。私自身の経験値が上がってきたこともあるでしょうが、末廣さんと判断の基準を共有できているので、あまり迷わずに決めていくことが出来ますし、わからないところも安心して「お任せします!」と言えます。
ジャケットに関しては、何着か試着用のものがあって、それを羽織ってみると、ものすごく軽いのが印象的。「うちの型紙はたぶん合うと思いますよ」と言われて、期待感が高まります。
このほかに、シャツの布と襟の形、胸ポケットやイニシャル刺繍の有無なんかを決めて、この日はおしまい。
この時点で半額支払いです(振込でもOK)。
フィッティング
翌月のオーダー会の日、再度代官山を訪れて、出来てきたものの試着です。シャツも合わせて試着。ジャケットはやっぱり軽い。あと、初めての感覚なんですが、いい具合にぴたっと肩と吸い付く感じがあります。
イルサルトさんは、ミラノのスタイルを志向していて、私がいままで作ってきたスーツは、イギリスっぽい作りだったというのがこの違いなのかどうか、実はよくわからないのですが、この肌感覚は新鮮です。
ただ、ジャケットの袖の長さがちょっと想像と違ったので、お直しにすることに。この調整に追加料金は掛かりません。
で、この時点で残りの金額を支払います。
納品
調整がおわったものは、(大阪ではどうかわかりませんが)郵送されてきます。送料はかかりませんでした。
まとめ
職種にもよると思いますが、スーツって人生で一番長く着るかも知れないスタイルですよね。ここで押さえるべきところを押さえられると、かなりいい人生を送れるんじゃないかと思うわけです。
それは、「オシャレに敏感か無頓着か」といった話ではなく、「ちゃんとあいさつが出来るかどうか」くらいのレベルで、ビジネスマンの基本スキルなんだと思うのです。
とはいえ、学校や会社でスーツの着こなしスキルを教えてくれるわけでもない現代日本では、パーソナルスタイリストだったり、イルサルトさんみたいな存在が重要なんではないかと。
普通にスーツ量販店に行くのとは桁の違う買い物になるのは間違いないので、新入社員にはお勧めしないですけど、ある程度仕事ができて、上昇志向もある30代以上のビジネスマンで、市販品じゃなかなかサイズがない/気に入ったものがない、という方にぜひ検討していただきたいサービスです。
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